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有馬温泉とカメの関係

ここでは、「有馬温泉とカメの関係」 に関する記事を紹介しています。
今回ご紹介するのは、有馬温泉と弊店のトレードマークのモチーフでもある「カメ」との意外と深い関係です。少々小難しいお話にどうぞお付き合いを。
■ 当店のトレードマーク「カメ印」は『有馬温泉原薬カメ印湯の花』の商標として、有馬温泉の鎮守「湯泉神社」のご紋(厳密には裏紋)である亀に肖って明治時代にデザインしたものです。つい先日、神社に行ってみました。屋根飾り(拝殿唐破風、かえるまた等)に亀の力強い彫刻が、幕にも昇り亀のご紋がありました。お社の向かって右側には弊店が明治時代にご奉納した大黒様の石像が鎮座していました。台座には「カメ印」と「元祖湯の花」」「吉田」「温泉堂」と刻印されています。(「温泉堂」は、吉高屋が「湯の花」を販売するために創った屋号です。)
因みに、弊店の屋号「吉高屋」は判る範囲で江戸時代末期には既に在り、「吉高」は「キッコウ」とも読め「亀甲」に通じますし、一般に「吉田」姓は古くは亀卜(キボク:亀の腹甲を焼いて出来る割れ目を見て吉凶を占う事。)に繋がっているようなので関連が無いのかどうか興味深いです。 面白いのは、私ども吉高屋(吉田家)のお墓が、亀に見立てたと伝わるずんぐりした自然石を使用している事で、少なくとも有馬の墓地統合があった明治9年には在り、「カメ印湯の花」発売の明治26年のはるか以前から「亀」にこだわっていた事になります。ルーツ探しは店主個人的にとても興味深いテーマで、六甲山上にある「吉高神社」も関係ありそうですが解りません。手掛かりをご存知の方居られましたらお教え下さい。)

吉高屋の亀 
カメ印湯の花のラベル カメ印湯の花の印刷物吉高屋温泉堂の亀マーク看板 吉高屋温泉堂
湯の花ラベル      封筒の印刷    明治時代の看板      使用していたロゴの一つ天使がいます。

湯泉神社の亀  

有馬温泉 湯泉神社 有馬温泉 湯泉神社の亀
湯泉神社 右端に当店奉納の大黒様が。  屋根の飾りにも亀。とても威圧的でかっこいいです。
湯泉神社の大黒様 大黒様の台座
明治時代に当店主が奉納した大黒様。  台座に「亀印」「元祖湯の花」「吉田」「温泉堂」とある。

湯泉神社の社紋
幕の「のぼり亀」


■ では何故、湯泉神社のご紋が亀なのか、その起源は年代も含め文献が存在せず不明です。いつもご教授頂いている郷土史研究家の藤井清氏の推測の一つは、元々湯泉神社は薬師堂(温泉寺)の守り神でもあり、お社が地理的な制約から寺に向かって右、愛宕山斜面に、風水的には忌み嫌われる北向きに建てられており、中国の四神思想の影響を受け、今で言う風水的見地から鎮めの神として北の守り神「玄武」(亀)を奉ったのではないだろうかと言うもの。


 奈良時代、有名な行基菩薩が有馬に来て温泉を開き有馬温泉の発展の基礎が作られたのが神亀元年(724)といわれていますから、それも関係が在るかも知れません。そうすると何故年号に「亀」が入っているのでしょうか。

 もともと古代中国では、とても寿命が長く、毎年、冬眠から覚めて再生する姿を見て、不死の生命力、未来予知の霊力を持つ物と考えたようです。亀卜は中国で新石器時代の亀山文化期に始まり、殷王朝の時代に広まったそうです。 日本にも、古墳時代後期に亀卜が伝わり、飛鳥時代には霊力のある亀を崇める考えが一般化したようです。平成12年に奈良明日香村で発掘された酒船石遺跡(飛鳥時代)の「亀石」などにもそれが覗えます。(四神思想の「玄武」説や神仙思想における「大亀」の説があります。)
 奈良時代の「神亀」や「霊亀」「宝亀」、室町時代の「元亀」といった年号は、霊力を持った亀が天皇に献上されたときに改元されたらしいです。

■ 湯泉神社に隣接する愛宕山には豊公(豊臣秀吉)が茶の湯を楽しんだと言われる「遊楽館」の跡があります。豊公遺愛の物と伝えられている真ん中が鉢状にくり貫かれている亀の形をした岩が在り、『亀の手洗い鉢』と呼ばれていますが、加工された時代は不明です。付近にも同じような安山岩の岩が散見されるので、愛宕山頂上付近の天狗岩と同じく、火山であった愛宕山に有史以来あった岩を後に、穴をくり貫いた物ではないでしょうか。それはひょっとすると、秀吉以前に遡るかも知れません。「亀の御紋」を持つ湯泉神社の昔の場所の裏手になるので湯泉神社と関係のある物でしょうか。

愛宕山:豊公遺愛の『亀の手洗い鉢』
           太閤さん遺愛の亀の手洗い鉢               奈良県明日香村の亀石 
 愛宕山の豊公遺愛と伝えられる「亀の手洗い鉢」  奈良明日香村の亀石(12,2,23読売新聞より)
太閤さん遺愛の亀の手洗い鉢
昔の絵図と松の木が生えていた頃の写真。公会堂(大正15年に旧本温泉を解体し愛宕山に移築した物。)の傍らにあった。
愛宕山の亀の手洗い鉢 愛宕山の亀の手洗い鉢 愛宕山の亀の手洗い鉢 有馬温泉 愛宕山 天狗岩

「亀の手洗い鉢」の今。梅林の片隅にひっそりとある。説明看板もありません。自然の岩に穴を開けただけで、どう見ても何処が頭で何処が尻尾か良く分かりません、何故「亀の手洗い鉢」とネーミングされているのでしょう。亀に似ているかどうかより、そこに興味が湧きます。 
付近に同様の岩群がありました。右下写真は、山上の「天狗岩」。いずれも安山岩の岩石群です。
愛宕山が、火山だった証です。

■ 有馬の西側にそびえる落葉山の頂上に妙見寺が在ります。元古城の跡に大正9年に建立されたもので、廃寺になっていた日蓮宗の金剛寺(今の有馬ロイヤルホテル奥側の場所)の本尊が移されています。ご本尊である北極星(北辰)を神格化した妙見菩薩は北方の守り神である玄武(亀)や蛇を眷属としているので、信者から奉納された海亀の剥製がお堂に奉ってあります。
 有馬温泉 妙見寺 有馬温泉 妙見寺の亀 
落葉山上妙見寺。お堂に最大の海亀であるオサガメの剥製が奉ってある。古い信者によるご奉納物。かなりの迫力。亀の写真はお堂の格子の隙間からのショット。バチは当たりませんよネ??
真夏に山上まで登るのは、正直かなりキツかったです。


■ 落葉山の北の麓、旧神戸街道(今のねぎや陵風閣さんの下の道)の下に懸かっている水の少ない滝を昔から『亀の尾の滝』と呼んでいます。現在は傍に「亀の尾不動尊」が祭られています。幾筋もの水の滴る様を、絵に描かれた「亀の尾」に見立てているのでしょうか。滝の傍らの岩肌に「暁桜」と彫られており、享保11年(1726)藤堂高豊が刻ませたと言われています。滝の下には幅1m程の謎の横穴の洞穴があります。自然の物か誰かが彫ったのか、どこかに通じているのか、文献にも無く全然解りません。滝が亀の尾っぽなら洞窟はさしずめお尻の穴、或いは産道でしょうか。


亀の尾の滝
有馬温泉 亀の尾の滝 有馬温泉 亀の尾の滝
『亀の尾の滝』とみごとな「岩タバコ」の群生。 巨石の上に不動尊のお社がある。
有馬温泉 亀の尾の滝 亀の尾の滝のお不動さん 有馬温泉 亀の尾の滝

傍の岩肌に「暁桜」の大文字。 滝下には謎の洞窟が! ゆけむり坂より。

江戸時代の有馬山絵図に亀発見!?
■ 下の図は江戸時代、宝永7年(1710)に描かれた有馬では有名な「有馬山絵図」です。下がオリジナル。有馬山絵図
次の図は参考までに藤井清氏の現代語訳を入れてみました。
有馬山絵図
宝永7年(1710) 有馬山絵図(神戸市立中央図書館蔵) 町名を解り易く入れてみました。(現代語訳は郷土史研究家藤井清氏)

じっくり見てみて下さい。じっと見ていたら大きな亀が浮き出て来ませんか?…浮き出てこない圧倒的大多数の方の為に無理やり亀を書き入れちゃったのが下の図です。
有馬山絵図
何となくこんな風に亀に見えてきませんか?

亀の眼の部分なんか、まるで眼を描きいれてくれとばかりに丸い形に空白があります。とてもよく出来ていると思うのは、何と亀のお尻の辺りの地名はその名も「かめのを(亀の尾)」!先ほど紹介した「亀の尾の滝」が在ります。他にも陰陽道の影響を示唆するかのように東のはずれには有名な平安時代の陰陽師安倍晴明の名を冠したその名も「晴明地蔵」が記載されているではありませんか!
有馬山絵図の「亀の尾」 清明地蔵
左 「かめのを」     右 晴明地蔵


まさか絵図の作者が意図したとは思えませんが、滝川と六甲川に囲まれた有馬の街全体が何となく亀に見えてくるところが不思議です。真北にお尻と尾っぽ、おまけにお尻の穴まで向けて(亀の尾の滝)、頭を真南に向けています。愛宕山は大亀の背中に乗った小亀に見えます。
 湯泉神社の亀とは対照的に、ちょっとオマヌケなところが吉高屋の亀にも似ていてキュートじゃないですか!

古代の中国やインドの神話には共通して、大地或いは世界を支える大亀が出てきます。有馬の街も大亀に支えられているのかもしれませんね。

  

■  有馬温泉が山に守られ、風水的にほぼ理想的な所謂「蔵風徳水」の地であることは、既に当コラム『有馬と風水』でも紹介しました。唯一、街自体が六甲山を背に「北向き」である事を除いて!…と言う事は、有馬の鎮守である湯泉神社に北方の守り神、玄武(亀)をあしらうのは、お社が北向きである事のみならず、実は有馬全体を風水(陰陽)上の難から回避させようとの意図があったからではないでしょうか。絵図の亀に関しては私のこじつけであるにしても、亀にまつわる物がいろいろあるのも何となく頷けるような気がします。湯泉神社の屋根飾りの鬼気迫る亀の形相ににただならぬものを感じたのは、そういう事だったのかと、ひとり納得するのでした。

                 有馬温泉 湯泉神社の亀


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